【管理人の100文字感想文】
鬼平のナレーション等で知られる元NHKアナウンサー・中西龍をモデルに書いた話。
彼が生きた時代と、そして彼の実に破天荒な面と句作や詩情あふれる細やかな面の両極端を存分に描けるのは三田完しかいないと思った。
『
俳風三麗花』でも紹介した通り、著者の三田完はNHKで働いていたこともあり、また俳人としての活躍もありということで、中西龍のことを書くのならまさしく適任なのである。というか、彼以外書けないのでは、と思うほどだ。
戦後の昭和から終焉あたりにただよう時代の雰囲気をとらえるのも実に巧い。
NHKラジオの「にっぽんのメロディー」は、かつての私にとってその日一日をリセットして安らかな眠りにつくためになくてはならないものだった。
中西アナウンサー=当マイクロフォンの声でなくてはならなかった。
なんて心を打つ声を出す人なんだろう、なんて文学的な話し方をする人なんだろうと
聞き惚れつつ、子守唄としていた。
体調を崩され、ラジオにも出なくなり、鬼平のナレーション担当字幕部分に別の人の名が並べて書かれるようになって寂しかった。
お亡くなりになったのを聞いてとてもとっても残念だった。あんな声の人はもう登場すまい。
その声の人の「本体」に、今日この本で触れ、少しうれしかった。
あの優しい穏やかな叙情的な声を出す人の人生が、あんなしっちゃかめっちゃかだったとは!